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土砂降りの雨、決断した日。

April 15, 2016

 自分で言うのも何だけど、僕はそれなりに勉強してきた。そりゃ、東大や京大に行くような人に比べたら全然だけど、そこそこ名の知れている私立大学を卒業した。もちろん「努力したのだから当然だ」等と言うつもりはない。運にも、環境にも恵まれた人生だったと思う。

 

 だけど、何で好きでもない勉強をしてきたのかと言うと、それはもう将来の安定のためで。

 

 小6の頃には、学校の先生になると決めていたけど、教育学部ではなく、敢えて理工学部を選んだのは、もしもの時のために、より広い選択肢を残しておきたいと思ったからだ。

 

 教職時代のことは、漫画にするのでここではあまり触れないけど、鬱病を患い、1年で辞めた。

 

 その後、1年の療養生活を経て、大阪の楽器店に就職したんだけど、そこがブラックだった。

 

 年間60日しかない休日と、アルバイトよりも安い給料で、頭の悪い上司に毎日罵詈雑言を浴びせられる日々。治りかけていた鬱病が再発し、酒浸りの日々と自問自答を繰り返していた。

 

 「俺が積み上げてきたものは、こんなもののためだったのか。」

 

 自分の過去にすがりついていた。「これだけ努力したのだから、報われなければおかしい。」そう思っていた。だけど違ってた。僕がすがりついていたのは、手取り15万ほどの月給だった。

 

 毎月同額の給料が振り込まれること以外、何の魅力もない日々。それまでの苦労を考えると、あまりに少ない金額だったけど、この給料がなくなれば、生活出来なくなるということを怖れていた。それだけだった。

 

 

 

 その日僕は急いでいた。何故急いでいたのかは覚えていない。

 

 突然の雨。

 

 アーケードに駆け込む。

 

 傘を持たない人でごった返していた。ゆっくりしか進まない居心地の悪い人混み。このままでは約束の時間に間に合わない。

 

 イライラしながら、周りのペースに合わせて歩いていると、ふと誰もいない路地裏が目に入った。

 

 

 

 

 

 この道なら、予定通り目的地にたどり着けるかもしれない。だけど、ずぶ濡れになる覚悟が必要だ。

 

 

 

 

 

 あぁ、まるで俺の人生のようじゃないか。俺は今、雨に濡れるのが(不安定になるのが)怖くて、居心地の悪いアーケード(組織)の下にいる。残念なことに人生は有限だ。このままでは、目的地にたどり着けそうにない。

 

 

 土砂降りの雨の中、全力で駆け出した。

 

 

 

 

 

【告知】

4月16日(土)20:00頃から、昨年5月に講談社Dモーニングに掲載された『静寂の音』を、自身のホームページ上で、無期限で無料公開します。Dモーニング掲載時より10ページ増量、加筆修正多数。まだ読んだことがない方も、既に読まれた方も楽しめる内容になっています。公開後反響があれば、そのままホームページ上で連載するかもしれません。

元中学校教師が描く、教育現場のリアル!今まで誰も踏み込んでこなかった公教育という『聖域』に踏み込みます。乞うご期待!

 

 

 

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